1999年9月に購入し、5年間、完璧にノントラブルを走ってくれた。ホンダが誇るVTECエンジンの200馬力、アクセルを踏み込んだときブースター点火のようなロケット発進、還暦を過ぎたドライブ狂にわくわくするような喜びを与えてくれた。

この9月、こいつに別れを告げて、同じホンダのオデッセイ アブソリュートに乗りかえた。
理由は、私と同じようにこいつにも第2の人生を迎えさせたかったから、それに別れが後になればなるほど辛かったから。しかし見知らぬ他人には渡したくなった。
車検を通し、タイヤ・バッテリーを変え、CD/MDデッキを搭載し、新しいカーペットを敷いた。都内にマンションを購入した娘夫婦の祝いとするために。
祝いとするには歳をとり、走行距離も伸びているが、3,000kmごとのオイル交換と点検を行ってきたこいつは、ホンダによれば16〜17万キロまで大きな部品交換は要らないとのこと。
彼らもそれまでは大事に乗ってくれるだろう。

別れるにあたっての悔いは、こいつに北海道・九州を走らせてやることができなかったこと。しかし、青森県から山口県までの本州を縦断・横断したので、これで我慢してくれるだろう。

こいつの個性からすれば、隠居より若者にもっと大きな喜びを与えてくれるはずだ。
東京の華やかで刺激的な街を、軽快なエンジン音を響かせて走ってくれるだろう。
何と言っても、こいつのコンセプトは「アーバン(都会派)ワゴン」だから。
先日、1ヶ月ぶりに東京で再会した。奈良ナンバーから、憧れの品川ナンバーのプレートを背負って誇らしげに見えた。偉い出世だ、うれしかった。
俺と同じように若いご主人の下で第二の人生を楽しんでくれ。
さらば。
蓼科から美ヶ原に向うビーナス街道から白樺湖・八ヶ岳を望む。この流麗なフォルムに惚れこんでいた。
八幡平。最後のロングドライブ・北東北一週間の旅。
花に囲まれて自宅でスタンバイ。
一緒に奈良・東京を20往復したアルもお前が大好きだった。
スリル満点の峡谷・断崖沿いの山岳道路を何10回も走ってくれた。
日本一のブランドプレート「品川ナンバー」がよく似合う。俺と同じように第二の人生を楽しんでくれよ。娘夫婦を宜しく頼む。
ブラックアメジストパールのオデッセイ・アブソリュート。1ヶ月で4,000km走ったが評価はまあまあだ。お前も200馬力、前任「車」同様、頑張って走ってくれよ。これからもよろしく。
孫達を乗せて買物・食事によく出かけた。彼等を乗せて、お前と一緒にデズニーランドに行けなかったことが心残りだった。
さらば アコードワゴンSiR